研修内容「差別化ってなに?」

こんにちは、西森です。今回のテーマは前回と同様、マーケティングを説明することです。特に、マーケティングの中でも「競合との差別化」に焦点を当てた内容です。

目次

  • 前回までのおさらい
  • 差別化戦略って?
  • あの会社の差別化戦略は?
  • 3つの差別化軸
  • 架空ネットショップの差別化戦略を考えてみよう

前回までのおさらい

まず前回までのおさらいをします。

  • ベネフィット…お客様にとっての価値
  • セグメンテーション…お客様を分けること
  • ターゲティング…お客様の属性を決める
  • ペルソナ…理想の顧客層を具体化する

これで、「誰に(ターゲット)」「どんな価値を(ベネフィット)」を届ければ良いかが分かりました。しかし、それだけでは商品は売れません。 それは、他社との差別化がされていないからです。

差別化戦略って?

例えば同じような洋服を、いくつかのネットショップで販売しているとします。「より安い服を買う人」「より高品質な服を買う人」「自分の体型に合った服を買う人」といった価格や品質、自分に合うものといった「他社との違い」がなければ商品を選んでもらうことはできないからです。

お客様に選んでもらうためには、そうした他社との違いや強みが必要です。

あの会社の差別化戦略は?

お客様に選んでもらうための他社との違いを、3つの企業を例にあげました。それぞれの差別化戦略を「強み」「ターゲット」「ベネフィット」「差別化の方法」といった4つの要素で分けて考えてみました。

〜サイゼリヤ〜

⑴強み

店舗数の多さと安さ

⑵ターゲット

高校生男女

⑶ベネフィット

身近なところにあり、安くて美味しい。飽きない。長く居られる。一品が少なめで色々食べられて、女性には優しい。

⑷他のイタリアン料理店やファミレスとの差別化

イタリアン料理なのに低価格なので、カジュアルにイタリアン料理を楽しめる。キッズメニューがあり家族づれも入りやすい。

〜ルイ・ヴィトン〜

⑴強み

旅行用のトランク作りが始まりなため、つくりが丈夫。また、鞄作りの技術やノウハウに長けている。高級感があり、世界展開している。

⑵ターゲット

高級志向な30代女性

⑶ベネフィット

高級感。セレブリティ。壊れにくい。

⑷他の鞄メーカー・ファッションブランドとの差別化

オリジナルのモノグラムがあり、難しい柄なため真似されない。有名アーティストとのコラボや商品のラインナップが豊富。鞄を作る技術が高く、保証サービスもしっかりしている。ネクタイも販売していて、男性も買える。

〜スターズデザイン〜

⑴強み

ECサイトに特化しているため、ネットショップをしたい企業に嬉しい。社員が少数でお客様との距離感が近く、安心できる。

決裁者との確認が早く、要望が通りやすい。フットワークが軽く、企業に呼ばれたら直接行くことができる。女性社員が多いため女性向けデザインに強い。デザインに限らずコンサルティングができる。

⑵ターゲット

ネットショップをやっている中堅〜大企業、有名ネットショップの運営企業

⑶ベネフィット

思ったものが出来上がる。提案ができるため、売上アップに繋がる。外注した分仕事が楽になる。デザインを通じて企業の悩みを解決→モチベーションが上がる。やる気が出る。

⑷他のデザイン会社との差別化

ECに特化している。コンサルティングができるため効果のあるデザインをつくることができる。営業ではなくデザイナーが打ち合わせに行くので、確認が早く、重複しない。

同じような企業があったとしても、「安いイタリアン」「丈夫で特徴的なモノグラムの鞄」「EC特化で提案ができるデザイン会社」という他にない差別化ができていることが分かりました。

3つの差別化軸

差別化は主に3つの種類に分けられます。

価格軸…他の企業より安い・早い・便利

商品軸…他の企業よりも品質が良い

密着軸…他の企業よりもお客様に寄り添う

他よりも安いイタリアンは「価格軸」、丈夫で物がいい鞄は「商品軸」であることが分かります。差別化軸は必ずしも1つであるとは限りません。サイゼリヤならば、安くて家族連れや女性にも入りやすい「価格軸+密着軸」であるともいえます。

架空ネットショップの差別化戦略を考えてみよう

「架空のストーリー」「自分のパーソナリティ」「設定済みのペルソナ」を合わせ、架空のネットショップの差別化戦略を考えてみました。お店のテーマはひきつづき「自宅の工房で作る食器を売る食器屋」です。

今回は差別化を考えやすくするため、架空のストーリーシートを作っていただきました。これを元に差別化を考えていきたいと思います。

私の家では、代々「磁器」を作っている焼物工房だ。屋号は「西森工房」という。私は大学を卒業してそのまま家業に加わり、5年目を迎えている。

西森工房で作られる磁器のなかでも、もっとも多いのは食器類だ。粘土でできる陶器とは異なり、石でできる磁器は頑丈で、加工が難しく、食器市場のなかでも高級品とされる。

景気が良かったころは、様々な商社や食器メーカーが、西森工房に磁器の作成を依頼してきた。西森工房は下請けとしてメーカーのために食器を作ってきた。しかし、景気が悪化してからは、少しずつ注文が減ってきており、いよいよ工房存続の危機を迎えている。

聞くところによれば、三代前の先祖が佐賀県の有田地方で磁器を習い、遠州の小京都とよばれる森町で工房を開いたそうだ。ちなみに有田地方で作られる磁器は「有田焼」と呼ばれ、日本でもっとも有名な焼き物のひとつである。

陶器は比較的扱いやすく若手作家などがこぞって登場するが、磁器はその性質上、人材が育ちにくい。しかし、幼い頃から工房で育ってきた私は、磁器の作り方を熟知している。かつて京都の芸大に通い、様々な素材を用いた創作活動をしてきて、磁器以外の工芸品にも造詣を深めたつもりだ。

焼き物には、素材を流し込み、成形するための「型」が必要だ。この「型」を作ることができる職人は非常に少なく、工房に1人必ずいるというわけではない。

器の形状ごとにオリジナルな「型」をつくっていると製作費がかさんでくるので、商社やメーカーは、同じ形状の器を大量生産し、着色や模様でバリエーションを増やすことが多い。それが日本の磁器市場の現状だ。だから、個性豊かな陶器のほうに人気が集まる。

西森工房では、ベテラン従業員が「型」を作ることが出来るため、箸置きやブローチなど「磁器の工法でつくれるもの」であれば、少量でも作ることができるのだが商社からは「型代が払えない」と言われ、普段は大量生産の仕事ばかりしてきた。

まもなく親の代からバトンタッチされる私は、こう考えた。

ー 下請けの仕事から脱却して、直接、消費者に磁器の価値を届けたい ー

いままでインターネットには疎かった私だが、自分なりに勉強してみたところ最近では幅広い層がインターネットを使っていて、ネット上で食器などの生活雑貨を買っているようだ。

西森工房も、下請け仕事から卒業するため、ネット販売にチャレンジしてみようかと考えている。

設定をプラスし、この工房では、料理が綺麗に見える、美味しく感じる、食べやすいといった「食器づくりへのこだわり」があることにし、保証サービスやお客様対応が丁寧なことも付け加えました。

〜西森工房〜

⑴ブランドの強み

有田焼の技術を本場で手に入れている。また、磁器なので頑丈で壊れにくい。型を作れる数少ないベテランがいるため、箸やブローチも作ることができる。

食器を多く作ってきた経験があり、その技術は次の代にもしっかりと受け継がれている。遠州の小京都という地域ブランド。京都の芸大に通い、様々なものづくりを経験してきた。磁器は誰にでも作れるわけではなく、真似されにくい希少性がある。新しいものに興味が強い。

⑵ターゲット

料理が趣味で、食事の時間を大事にする50代女性。

⑶ベネフィット

頑丈なので長く使える安心感があり、壊れにくいため経済的。こだわりのある食器を使うことでセンスがいいと思われる。料理や食事の時間が好きになる。充実な時間を持つことができる。自慢でき、話の種になる。大量生産ではないので、希少性があり信頼もできる。

⑷他のお店との差別化

なかなか差別化を思いつかなかったので、どんなことができるかをアドバイスしていただきました。

  • 地域名を使いブランド性を出す
  • 独自の形をしたお皿の販売
  • オーダーメイドを受け付ける
  • バリエーション・ラインナップの豊かさ
  • 「現代の有田焼」という売り方
  • 左利き専門店
  • 若さを売りにしたお店(新しいものに挑戦)

まとめ

「型を作ることができる」というのが大きな強みであり、差別化であることが分かりました。強みをどう活かすかが差別化になるようです。まずはどんな強みがあるか、どこが大きな強みであるかを見落とさないようにしたいです。

マーケティングでは、全ての要素に一貫性を持たせることがとて重要だといいます。希少な磁器でありきたりな食器を作っても売れることはないように、一貫性がしっかりしている商品が、多く・長く売れるために重要です。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です