差別化戦略とは?

栗田です。いよいよマーケティングについての学習も大詰めになってきました。

今回の研修テーマは「差別化戦略について学生に分かりやすく説明する」でした。差別化とはなんなのか?具体的に何をすればいいのか?ということを実際の企業で考えてみて、詳しくまとめました。

 

目次

  • ここまでの振り返り
  • 差別化戦略って何をすればいいの?
  • それぞれの企業の戦略を考える
  • 仮想ストーリーシートを元に戦略を考える

ここまでの振り返り

ここまでマーケティングの勉強をした所で、一度おさらいをしておきましょう。

ベネフィットとは?

お客様にとっての価値

セグメンテーションとは?

お客様を分けること

ターゲティングとは?

お客様の属性を決める

ペルソナとは?

理想の顧客像を具体的に決める

学生でも分かるように一言で説明するにはこのような言い方が一番伝わりやすいですね。これでおさらいを通じて「誰に(ターゲット)」「どんな価値を(ベネフィット)」を届ければ分かりましたが、上記のことだけでは商品は売れません。

なぜかと言うと、他のお店との「差別化」を考えていないからです。このお店でしか出来ないことなどを考えるのが差別化です。なので、ただターゲットを絞ってお客様にとっての価値を完璧に理解していても、差別化をしないと気づいてもらえず見てはもらえません。

 

差別化戦略って何をすればいいの?

それでは本題に入りますが、まず差別化戦略についてです。
差別化戦略は「ブランドの強み」「ターゲット」「ベネフィット」「差別化の方法」の4つの要素を考えていきます。

例えば吉野家で考えるとすると

ブランドの強み

店舗数、歴史とノウハウ、はなまるうどんが系列など

ターゲット

独身サラリーマン

ベネフィット

早い、安い、うまい

差別化の方法

  • 郊外に店を出すことで、車でも来店しやすくした。営業の人相手に)
  • グループ企業とコラボすることで、女性にも入りやすくした(うどん、そば)
  • お酒を置いて、飲み屋として使えるようにした

このようになります。この4つの方法には一貫性があり、全てがあってこそ成立する考えということが分かります。

 

ちなみに強みの考え方として3つの軸で何を重要視するかということが大事です。物の良し悪しを見る「商品軸」、価格の高い低いを見る「価格軸」、どれだけお客様に寄り添えるか、顧客に合わせて商品を売るかという密着軸です。

 

それぞれの企業の戦略を考える

差別化戦略の考え方が分かった所で各ブランドについても考えていきましょう。

今回サイゼリア、ルイ・ヴィトン、スターズデザインの3つについて考えました。そしてスターズデザインは実際にヒアリングを行いました。

サイゼリア

強み

店舗数、安さ

ターゲット

女子高生

ベネフィット

  • 身近な所にある(気軽に行けれる)
  • 安くて美味しい
  • 素材を活かした料理で飽きない
  • 長時間居られる
  • 1品の量が少なめ(女性に優しい、たくさん食べれる)

他のイタリアン料理店やファミレスとの差別化

  • カジュアルにイタリアンを楽しめる
  • 価格を下げることで手軽に来てもらえる
  • キッズメニューを用意することで家族連れでも来てもらえる

 

これをみて分かるようにサイゼリアは1番に価格軸を考えており、ここは本格的な高級イタリアンというわけではないので、次に密着軸で考えていることが分かります。

ルイ・ヴィトン

強み

高級感、ブランド力、世界中に店舗がたくさんある

 

ターゲット

高級志向の30代女性

ベネフィット

  • ブランド品を持っているという自己表現価値
  • 高級感、セレブリティ
  • モノグラム

他の鞄メーカーやファッションブランドとの差別化

  • アトリエがあり、入場無料で見学が出来る
  • トロフィーケースの制作(品質の良さの証明)
  • 有名アーティストやモデルとのコラボ
  • ネクタイなどもあるから男性にも買ってもらえる
  • モノグラムそのもの
  • 品質が良く、丈夫

他の競合ブランドが絶対的にかなわないのはバッグ系のラインナップです。ルイヴィトンは元々トランクなどの旅行用品の製造会社だったので、バッグの丈夫さや種類はどこにも負けないので、特にそこで差別化がされています。

 

スターズデザイン

強み

  • ECサイト制作に特化している
  • お客様との距離が近い
  • フットワークが軽い
  • 女の人に向けたデザインが強い
  • その道のプロと一緒に出来るから安心
  • 人数が少ないから決裁者の確認が早い
  • 売れるためのコンサルティングが出来る
  • フリーデザイナーさんにも依頼するからデザインのクオリティが上がる

ターゲット

ネットショップをやっている中規模以上の企業のEC担当者から課長クラスの人

ベネフィット

  • 思ったものが出来上がる
  • 提案ができるから売り上げUPに
  • その分の仕事が楽になる
  • サイトリニューアルをしてやる気が出る(モチベーションが上がる)
  • デザインを通じて悩みを解決出来る

他のデザイン会社やEC支援会社との差別化

  • コンサルタントが出来るから効果があるものを作れる
  • ECに特化している(EC専門)
  • その場で作業するのでデザイナーと直接デザインを相談出来る

他の会社と違い、お客様の所にデザイナーが直接行って、その場で目の前でデザインの調整を行うので安心感や効率化といった所で差別化を図っていることが分かります。

 

仮想ストーリーシートを元に戦略を考える

仮想のストーリーシートを用意してもらい、前回に設定したペルソナと合わせて考えていきます。

こちらが用意していただいたストーリーです。


楓は、若い女性に人気のアパレルブランド「B&K」で5年間勤務してきた。もともとファッションが大好きで、高校時代は本気でファッションデザイナーを志したこともあった。
手先がそこまで器用ではなく、裁縫などあまり得意ではなかったので断念したが、どうしてもファッション業界への道が諦めきれず、大学を卒業してから、自分も愛用していたブランドに就職したのだった。

B&Kでの主な仕事はネットショップの運営、お客様の対応、そして撮影の補助だ。現場の仕事を通じて、Webデザインの一通りの技術は学んだつもりだ。購入したお客様からのクレームの電話を受けるときなど精神的にきついこともあるが、お客様から感謝の手紙をもらったり、励ましの言葉をもらうことが何より嬉しかった。

モデルさんや、プロのカメラマンと一緒に行う仕事はきらびやかでとても楽しかった。いまでも彼女たちとは連絡を取り合い、ときどき一緒にご飯を食べに行くこともある。
モデルは華やかな世界だが、実は一部のトップモデルを除けばギャラは安く、モデルだけでは食べていけないという愚痴もよく聞かされている。それはカメラマンも同じことらしい。

しかし、こだわりの素材と独自のデザイン性が売りだったB&Kのラインナップが年々、コスト重視のファストファッション路線に傾いていっていることが気がかりだった。

若い人に高い服が売れなくなっている時代なので、仕方がないことだと自分に言い聞かせていた。
それでも、自分が大好きだったブランドが、少しずつ崩れていく様子を見ながら楓は、ついに5年目にあることを決意する。

ー いままでの経験を生かして、自分で商売をしよう ー

B&Kを退職した楓は、すこしばかりの余暇を楽しむために、南仏に住んでいる3つ年上の従兄弟を訪ねた。
従兄弟は、園芸の勉強をするために10代でヨーロッパに渡っていた。
フランスで学び、イタリアで働き、いまではフランス人の男性と結婚して、ニース郊外でガーデニング教室を開いている。

ニース郊外…南フランスの町

英語・フランス語はもちろん、イタリア語まで堪能な従兄弟に連れられて、ニースの中心地にショッピングに行った楓は、ある帽子職人の個店に立ち寄る。

そこでは、日本ではあまり目にしないような鮮やかな色合いのベレー帽や、個性的な形のハットが並んでいた。
目を奪われた楓はおそるおそる値札を見たが、これが予想よりもはるかに安いものだった。
従兄弟に聞けば、フランスは羊毛の一大産地。原材料が安く調達できるから、ベレー帽をつくる職人が多いらしい。そもそもベレー帽はフランスのある地方の民族服が起源だとはじめて知った。

産地に行けば、日本では出会えないような個性的な帽子と出会えることをしった楓はこれをヒントに自分のお店をつくることを模索している。もともと帽子は大好きで、自分のトレードマークにもなっているほどだ。
従兄弟を通じてこの帽子屋の職人に相談したところ、日本で独占的に売っても良い、と好反応を得ている。


以上がストーリーとなります。

この帽子屋について考えていきましょう。

強み

・仕入れ元が本場の材料と職人さんだから品質がいい

・原材料が安く調達出来るから安く販売できる

・アパレルブランドで働いていたからファッションの知識がある

・従兄弟がニース郊外でガーデニング教室を開いている
→撮影環境の確保が出来る。フランスに拠点が持てる。

・Webデザインの一通りの技術は持っている
→ネットショップ運営が出来るから売り方が分かっている

・モデルやプロのカメラマンの知り合いがいる
→あまりお金をかけずに頼めれる

・撮影の補助が出来るので人件費削減に繋がる

・職人の帽子を独占的に売れる
→このお店だけの商品が作れる

・語学堪能な仲間がいる(英語、フランス語、イタリア語)
→サイトを作るにあたって翻訳してもらえる

・一点ものを作れる
→オリジナル商品を作ることが可能

 

ターゲット

こだわりの強い20代女性

ベネフィット

・個性的な帽子が多いから人と被らない
→センスがいいということ(自己表現的価値)

・本場のものだからオシャレ
→日本ではあまり目にしないような帽子が多い

・良いものだから毎日被りたくなる

・帽子が大好きな人の帽子屋だから信頼出来る

・商品の写真が綺麗・モデルさんが実際に被っている写真が載っている
→安心して買える

 

ここまでで分かることは、このお店の特に1番の強みは、品質、職人の帽子を独占的に売れること、安く販売が出来るという3つのことです。

そして、価格が安いことも大事だけど「こだわりの強い人」なら値段が高くても買うかもしれないということ、そして信頼や安心があることや高品質という点で考えていくと、このお店は密着軸+商品軸を売りにしていることが分かります。

 

他のお店ととの差別化

・ベレー帽を売りにしている
→様々な種類やサイズ展開

・ベレー帽の売り方講座
→ネットでやる場合は動画で(本場の人にやってもらうのも良い)

・サイズのラインナップが豊富
→職人さんにオーダーメイドが出来る。要望に答えられる。

 

まとめ

差別化戦略を考えるにあたって、強み、ターゲット、ベネフィット、差別化の方法全てに一貫性ががあることが重要だと分かりました。

差別化は強みを元に考えていかなくてはならないし、ベネフィットはターゲットに対して考えなければ誰に対しての価値なのか分からなくなってしまうので、途中でどれか1つでもブレたらいけません。

今回のことを頭に置いて前に作ったサイトのラフデザインを見たら、何が足りなかったのか、どうしたら売れるのかがもう少し深く考えられると思います。

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