4Pとは一体なんだろう?

栗田です。今回は「架空のネットショップの4Pについて」という内容でした。4P、4Cとはなんなのか、そして具体的にどう取り入れていけば良いのかを、引き続き「海外で仕入れてきた帽子を売っている帽子屋さん」で考えました。

目次

  • 4P、4Cってなに?
  • 帽子屋で考える
  • マーケティングで一番大切なことってなに?

4P、4Cってなに?

4Pはマーケティングをする上でとても大事なものです。今までの考えてきたことと違って4Pは考えを現実に落とし込むことで、次の言葉の頭文字を取ったものです。

Product(製品)どんな商品を定評するか
→製品ラインナップ、特徴、品質など

Price(価格)その商品はいくらで販売するか、どんな決済方法にするか
→銀行振込、クレジットカードなど

Place(流通)その商品は、どのようにアクセス〜購入してもらうか
→検索サイトで知ってもらう、楽天で買ってもらうなど

Promotion(告知)顧客への告知方法はどうするか
→広告、販売促進、PRなど

この4Pは、店長目線で考えることを言います。逆に4Pそれぞれに顧客からの目線に置き換えたときは次の4つを使います。

Customer Value(顧客価値)顧客にどんな価値をもたらすか
→楽しくなる、優越感に浸れる、癒されるなど

Customer Cost(顧客の負担)どんな負担をもたらすか
→金銭的な負担や、心理的な負担など

Convenience(入手容易性)どのくらい買いやすいか
→いろんなお店で売っている、24時間購入可能、FAX注文出来るなど

Communication(コミュニケーション)商品を買う時どんな情報を求めているか
→使用感、他の人の感想、耐久性、コーデなど

 

帽子屋で考える

4Pがなんなのか分かったところで、前回までに考えたペルソナなどを少し修正して考えていきましょう。

事業内容

店名:Beret 商材:帽子

お店の名前は、ベレー帽を売りにしているということなのでBeretという名前にしました。

自社の強み

  • 品質→ 仕入れ元が本場の材料と職人さんだから
  • 安く販売出来る→ 原材料が安いため
  • 職人の帽子を独占的に売れる→ このお店でしか買えないオリジナル商品

ターゲティング

 

基本セグメント

  • 年齢(20代)
  • 性別(女性)
  • 居住地(中部地方)
  • 子供(いる)
  • 趣味(アウトドア派
  • ネットを使う頻度(ほぼ毎日)
  • ネットの閲覧方法(スマホ)
  • 普段使うECサイト(モール型)
  • 学歴(大卒)
  • 好きなお店(シンプル)
  • 家族構成(3人)

固有セグメント

  • 種類(ベレー帽)

  • 1つの帽子にかける金額(5000円~1万円)

  • 被る頻度(時々)

  • 好みの帽子のタイプ(シンプル)

  • 普段着の傾向(カジュアル)

  • どこで作られたか(国内)

  • 被るシチュエーション(普段使い)

  • ひと月のファッションにかける金額(1万円前後)

 

以前考えた基本セグメントの趣味をインドア派からアウトドア派に変更し、固有セグメントにはひと月のファッションにかける金額(1万円前後)を追加しました。

ペルソナ紹介

 

松本よしこ 26歳 女性

職業:パート

年収200万円

家族構成:夫、娘1人

世帯年収:450〜500万円

居住地域:山梨県

情報収集:SNS


3人家族で平日はパートと家事の両立を頑張っている。夫は車の部品を扱う工場の社員。

娘が5歳になったので、一緒にオシャレをして色々な所にお出かけをしたいと思い始めているので、手のつけやすい帽子を買おうとしている。

しかし、近くに好みの帽子を売っているお店がないし、東京まで行くにも微妙に距離があるので、どこで買おうか迷っている。普段はカジュアルめな服を着ており、それに合う帽子を探している。基本的にUNIQLOの服をよく着ている。


ペルソナを一言で表すと

娘のことが大好きなアウトドア派のパートさん

 

ペルソナも以前考えたものをベースとし、名前もしっかり設定しました。

仕事をフルタイムで働いた時にもっと稼いでいるはずなので年収を200万円に増やし、帽子をかぶる人なのでペルソナの性格をアウトドア派に変更しました。そして、子供の年齢を5歳にして、性格がおとなしめという設定を追加しました。

なので、一言で表すと「娘のことが大好きなアウトドア派のパートさん」というペルソナになりました。

顧客の悩み(ニーズ)は?

ここでは4Cを使って考えてみましょう。

  • 帽子に合う服を用意する
  • ユニクロやGUに比べたら高い
  • いろんな種類のベレー帽の中でどれが似合うか分からない
  • 商品を見つける、探し出す手間
  • サイズの調整がきく
  • 家にいても買える
  • 相談が出来る(LINEやフォームなど)
  • 全てが一点物(オーダーメイドが出来る)
  • 近くに支店が欲しい
  • どんな素材なのか分からない
  • サイズが分からない
  • どのくらいの価格なのか
  • どうコーデすればいいか

顧客のニーズにどう対応するか

以上のニーズをふまえて今度は店長目線の4Pに置き換えて考えていきます。

どこで

楽天と実店舗で買ってもらう
→家にいても買える、相談ができる、サイズ調整がきく

ポップアップストアを不定期で開催
→近くに支店が欲しい、サイズ調整がきく

どのように

SNS(Twitter、LINE、インスタなど)
→コーデや商品の素材を紹介

インターネット広告
→値段以上の品質だということをいろんな人に教える

顔や髪の形でどんな帽子が合うのか診断する
→どれが似合うか分からない

お店のこだわり、職人の写真や製作中の写真を掲載する
→全てが1点物

他店との差別化ポイントについて

  • ベレー帽を売りにしている→ 本場の物
  • ベレー帽の被り方を本場の人(職人さん)が動画で紹介
  • サイズのラインナップが豊富だからお客様の要望に答えられる
  • 職人さんにオーダーメイド出来る

 

まとめ

このお店はベレー帽を売りにするという他ではあまり見ないようなお店にすることで大きな差別化を図ることが出来ました。しかし、以前のペルソナと比較した時、ペルソナがインドア派なのに帽子を被るという少し矛盾してしまうところがありました。

なので、被る頻度が時々の人が毎日被りたくなる気持ちに変えさせる「インドア派の人が出かけたくなるようなお店」というベネフィットに変える考えにすることが大事だと分かりました。

研修内容「4Pってなに?」

こんにちは、西森です。今回はついにマーケティングのまとめにはいっていきます。今まで、順を追ってマーケティングの勉強をしてきました。最後は、架空ネットショップで考える4P戦略についてまとめました。

目次

  • 4Pってなに?
  • 実際に4Pを考えてみよう
  • ペルソナの目線で考える(4C)
  • 店長の目線で考える(4P)
  • ECサイトをもう一度つくってみよう

4Pってなに?

4Pとは、マーケティングにおいて、お客様にどうやって商品を届けるか?といった4つの要素のことをいいます。

  • Product(プロダクト:製品)
  • Price(プライス:価格)
  • Place(プレイス:流通)
  • Promotion(プロモーション:告知)

4つの言葉の頭文字から、4Pと呼ばれます。逆に、お客様目線から見た、顧客価値(Customer Value)・負担(Customer Cost)・入手容易性(Convenience)・コミュニケーション(Communication)といったものは4Cと呼ばれます。

実際に4Pを考えてみよう

今まで架空で「自宅の工房で作っている食器を売る食器屋」というネットショップをつくりましたが、今回もそれを例に4Pを考えていきたいと思います。ここでの4Cは、ペルソナ編で生まれた並幸子(なみさちこ)さんを想定します。

ペルソナの目線で考える(4C)

顧客価値

お店の商品がお客様にどんな価値をもたらす?

  • 食事の時間が楽しくなる
  • 経済的(長く使える)
  • センスの良さ
  • 充実感
  • 安心感

顧客の負担

お店の商品がお客様にどんな負担をもたらす?

  • 割れないか不安
  • 小さなネトショップだから不安
  • 置き場所
  • 検索の負担

入手容易性

お店の商品はどれくらい買いやすい?

  • 実店舗まで行くか、かネットでしか買えない
  • 同じ商品にもばらつきがある

コミュニケーション

お店の商品を買うとき、お客様はどんな情報を求めてる?

  • サイズ感
  • 保証サポート
  • 重さ
  • 価格
  • 安心

お客様が食器を買いたいと思う反面、ネットで買うことへの不安や負担があることが分かりました。この不安を「製品」「価格」「流通」「告知」といった4Pでどう解消できるかを考えます。

店長の目線で考える(4P)

製品

どんな商品を提供する?

  • 丈夫で高品質な食器(磁器)
  • 無駄を省いたシンプルなデザイン
  • 使い勝手が良い
  • 職人が作る
  • 同じ商品でも一点モノなので希少性が高い

価格

商品はいくらで売る?決済方法は?

  • 1枚5,000円前後
  • 銀行振込

流通

商品をどのようにアクセスし、購入してもらう?

  • 独自ドメイン型
  • 自宅工房での販売
  • 展示会
  • 工房見学

告知

お客様にどうやって知ってもらう?

  • フェイスブック
  • 展示会

ECサイトをもう一度つくってみよう

4Pで出した案を元にもう一度サイトの構成を考えてみました。

1.事業内容

店名:「遠州の小京都 西森工房」

商品:食器

2.自社の強み

有田焼の技術があり、型を作れる数少ないベテラン職人がいる。磁器なので壊れにくい性質を持っており、高品質である。使い勝手が良く、無駄のないシンプルなデザインだが、ぬくもりを感じる。代表的商品は、森町の自然をイメージした緑色の食器「森シリーズ」他。

3.ターゲティング〜ペルソナ

 

並幸 子(なみ さちこ)。女性52歳。世帯年収は700万円。服装はシンプル・ナチュラル系。ユニクロより無印派。

子供が成人して家から出ていき、夫と二人暮らし。趣味である料理を食べる人が減り寂しさを感じるが、落ち着いたゆとりある生活を楽しんでいる。毎月出るインテリア雑誌を読むのが楽しみ。

料理の写真を撮っては、フェイスブックに投稿している。使用端末はタブレット。夫が帰ってきたらご飯を温め、その日にあったことをのんびりと話しながら一緒に食べる。おかずのお皿は最初から分けている。休日にはふたりで晩酌もする。

子供がいるときは壊れてもいいように安価なお皿を4人分まとめて買っていたため、新しく夫と2人で使うお皿が欲しい。料理が美味しく綺麗にみえて、人に自慢できるようなお皿が欲しい。

4.顧客の悩みとニーズ

⑴子供が独り立ちして寂しいので、気分を変えたい。

⑵食事と料理をもっと楽しくしたい。

⑶人に自慢できるお皿が欲しい。

⑷お皿が割れないか不安。

⑸ネットで買うのが心配。

6.顧客のニーズにどう答える?

⑴いつもより良い食器で新鮮な気持ちになる。高品質。リラックスできる、自然をイメージした色の食器を提供。

⑵使い勝手の良さで料理を楽しく、食事を美味しく感じてもらう。高品質で希少性の高い良いお皿で、充実した時間を提供。

→食器の使用イメージや、和食レシピの掲載。

⑶フェイスブックで自慢ができる。いいねがつく。話の種になる。オーダーメイドを受け付ける。

→商品のうんちく情報、こだわりを多く載せる。価格が高いことに納得できる情報の内容量、商品アピール。

⑷丈夫な製品であることと、梱包へのこだわりを説明する。保証サービスを手厚くする。

⑸展示会や工房見学を開き、実物を手に取って見てもらう。工房や商品についての歴史やうんちくを説明して、安心してもらう。ブログでその時の様子を紹介する。工房の店舗写真や地図を載せる。

7.他社との差別化

森町をイメージした「自然の色シリーズ」を代表的商品にする。オーダーメイドを受け付ける。展示会や工房見学を開く。そのイベントで商品の品質や歴史を紹介し、安心・魅力を伝える。サイトをタブレットに最適化し、50代に見やすくする。

まとめ

今回4Pを学び、改めて西森工房の構成を考えましたが、前回に比べて大きく変わったことがありました。それは、お客様に喜んでもらえるようなサイトを意識したということです。

前回は、集客をするためモールでの販売を考えていました。しかしペルソナをしっかり設定することで「高品質」「こだわり」があるものというニーズを元に、独自ドメイン型サイトに改めました。

ブランド性をつくることや、告知を少なくすることで「知る人ぞ知る食器」感を出すことが、ペルソナが求めていることだったからです。

マーケティングを勉強することで、お客様目線でサイトを作ることの大切さがわかりました。これからデザイン面を勉強しますが、お客様が喜ぶECサイトをつくれるようミッチリ頑張りたいと思います。

差別化戦略とは?

栗田です。いよいよマーケティングについての学習も大詰めになってきました。

今回の研修テーマは「差別化戦略について学生に分かりやすく説明する」でした。差別化とはなんなのか?具体的に何をすればいいのか?ということを実際の企業で考えてみて、詳しくまとめました。

 

目次

  • ここまでの振り返り
  • 差別化戦略って何をすればいいの?
  • それぞれの企業の戦略を考える
  • 仮想ストーリーシートを元に戦略を考える

ここまでの振り返り

ここまでマーケティングの勉強をした所で、一度おさらいをしておきましょう。

ベネフィットとは?

お客様にとっての価値

セグメンテーションとは?

お客様を分けること

ターゲティングとは?

お客様の属性を決める

ペルソナとは?

理想の顧客像を具体的に決める

学生でも分かるように一言で説明するにはこのような言い方が一番伝わりやすいですね。これでおさらいを通じて「誰に(ターゲット)」「どんな価値を(ベネフィット)」を届ければ分かりましたが、上記のことだけでは商品は売れません。

なぜかと言うと、他のお店との「差別化」を考えていないからです。このお店でしか出来ないことなどを考えるのが差別化です。なので、ただターゲットを絞ってお客様にとっての価値を完璧に理解していても、差別化をしないと気づいてもらえず見てはもらえません。

 

差別化戦略って何をすればいいの?

それでは本題に入りますが、まず差別化戦略についてです。
差別化戦略は「ブランドの強み」「ターゲット」「ベネフィット」「差別化の方法」の4つの要素を考えていきます。

例えば吉野家で考えるとすると

ブランドの強み

店舗数、歴史とノウハウ、はなまるうどんが系列など

ターゲット

独身サラリーマン

ベネフィット

早い、安い、うまい

差別化の方法

  • 郊外に店を出すことで、車でも来店しやすくした。営業の人相手に)
  • グループ企業とコラボすることで、女性にも入りやすくした(うどん、そば)
  • お酒を置いて、飲み屋として使えるようにした

このようになります。この4つの方法には一貫性があり、全てがあってこそ成立する考えということが分かります。

 

ちなみに強みの考え方として3つの軸で何を重要視するかということが大事です。物の良し悪しを見る「商品軸」、価格の高い低いを見る「価格軸」、どれだけお客様に寄り添えるか、顧客に合わせて商品を売るかという密着軸です。

 

それぞれの企業の戦略を考える

差別化戦略の考え方が分かった所で各ブランドについても考えていきましょう。

今回サイゼリア、ルイ・ヴィトン、スターズデザインの3つについて考えました。そしてスターズデザインは実際にヒアリングを行いました。

サイゼリア

強み

店舗数、安さ

ターゲット

女子高生

ベネフィット

  • 身近な所にある(気軽に行けれる)
  • 安くて美味しい
  • 素材を活かした料理で飽きない
  • 長時間居られる
  • 1品の量が少なめ(女性に優しい、たくさん食べれる)

他のイタリアン料理店やファミレスとの差別化

  • カジュアルにイタリアンを楽しめる
  • 価格を下げることで手軽に来てもらえる
  • キッズメニューを用意することで家族連れでも来てもらえる

 

これをみて分かるようにサイゼリアは1番に価格軸を考えており、ここは本格的な高級イタリアンというわけではないので、次に密着軸で考えていることが分かります。

ルイ・ヴィトン

強み

高級感、ブランド力、世界中に店舗がたくさんある

 

ターゲット

高級志向の30代女性

ベネフィット

  • ブランド品を持っているという自己表現価値
  • 高級感、セレブリティ
  • モノグラム

他の鞄メーカーやファッションブランドとの差別化

  • アトリエがあり、入場無料で見学が出来る
  • トロフィーケースの制作(品質の良さの証明)
  • 有名アーティストやモデルとのコラボ
  • ネクタイなどもあるから男性にも買ってもらえる
  • モノグラムそのもの
  • 品質が良く、丈夫

他の競合ブランドが絶対的にかなわないのはバッグ系のラインナップです。ルイヴィトンは元々トランクなどの旅行用品の製造会社だったので、バッグの丈夫さや種類はどこにも負けないので、特にそこで差別化がされています。

 

スターズデザイン

強み

  • ECサイト制作に特化している
  • お客様との距離が近い
  • フットワークが軽い
  • 女の人に向けたデザインが強い
  • その道のプロと一緒に出来るから安心
  • 人数が少ないから決裁者の確認が早い
  • 売れるためのコンサルティングが出来る
  • フリーデザイナーさんにも依頼するからデザインのクオリティが上がる

ターゲット

ネットショップをやっている中規模以上の企業のEC担当者から課長クラスの人

ベネフィット

  • 思ったものが出来上がる
  • 提案ができるから売り上げUPに
  • その分の仕事が楽になる
  • サイトリニューアルをしてやる気が出る(モチベーションが上がる)
  • デザインを通じて悩みを解決出来る

他のデザイン会社やEC支援会社との差別化

  • コンサルタントが出来るから効果があるものを作れる
  • ECに特化している(EC専門)
  • その場で作業するのでデザイナーと直接デザインを相談出来る

他の会社と違い、お客様の所にデザイナーが直接行って、その場で目の前でデザインの調整を行うので安心感や効率化といった所で差別化を図っていることが分かります。

 

仮想ストーリーシートを元に戦略を考える

仮想のストーリーシートを用意してもらい、前回に設定したペルソナと合わせて考えていきます。

こちらが用意していただいたストーリーです。


楓は、若い女性に人気のアパレルブランド「B&K」で5年間勤務してきた。もともとファッションが大好きで、高校時代は本気でファッションデザイナーを志したこともあった。
手先がそこまで器用ではなく、裁縫などあまり得意ではなかったので断念したが、どうしてもファッション業界への道が諦めきれず、大学を卒業してから、自分も愛用していたブランドに就職したのだった。

B&Kでの主な仕事はネットショップの運営、お客様の対応、そして撮影の補助だ。現場の仕事を通じて、Webデザインの一通りの技術は学んだつもりだ。購入したお客様からのクレームの電話を受けるときなど精神的にきついこともあるが、お客様から感謝の手紙をもらったり、励ましの言葉をもらうことが何より嬉しかった。

モデルさんや、プロのカメラマンと一緒に行う仕事はきらびやかでとても楽しかった。いまでも彼女たちとは連絡を取り合い、ときどき一緒にご飯を食べに行くこともある。
モデルは華やかな世界だが、実は一部のトップモデルを除けばギャラは安く、モデルだけでは食べていけないという愚痴もよく聞かされている。それはカメラマンも同じことらしい。

しかし、こだわりの素材と独自のデザイン性が売りだったB&Kのラインナップが年々、コスト重視のファストファッション路線に傾いていっていることが気がかりだった。

若い人に高い服が売れなくなっている時代なので、仕方がないことだと自分に言い聞かせていた。
それでも、自分が大好きだったブランドが、少しずつ崩れていく様子を見ながら楓は、ついに5年目にあることを決意する。

ー いままでの経験を生かして、自分で商売をしよう ー

B&Kを退職した楓は、すこしばかりの余暇を楽しむために、南仏に住んでいる3つ年上の従兄弟を訪ねた。
従兄弟は、園芸の勉強をするために10代でヨーロッパに渡っていた。
フランスで学び、イタリアで働き、いまではフランス人の男性と結婚して、ニース郊外でガーデニング教室を開いている。

ニース郊外…南フランスの町

英語・フランス語はもちろん、イタリア語まで堪能な従兄弟に連れられて、ニースの中心地にショッピングに行った楓は、ある帽子職人の個店に立ち寄る。

そこでは、日本ではあまり目にしないような鮮やかな色合いのベレー帽や、個性的な形のハットが並んでいた。
目を奪われた楓はおそるおそる値札を見たが、これが予想よりもはるかに安いものだった。
従兄弟に聞けば、フランスは羊毛の一大産地。原材料が安く調達できるから、ベレー帽をつくる職人が多いらしい。そもそもベレー帽はフランスのある地方の民族服が起源だとはじめて知った。

産地に行けば、日本では出会えないような個性的な帽子と出会えることをしった楓はこれをヒントに自分のお店をつくることを模索している。もともと帽子は大好きで、自分のトレードマークにもなっているほどだ。
従兄弟を通じてこの帽子屋の職人に相談したところ、日本で独占的に売っても良い、と好反応を得ている。


以上がストーリーとなります。

この帽子屋について考えていきましょう。

強み

・仕入れ元が本場の材料と職人さんだから品質がいい

・原材料が安く調達出来るから安く販売できる

・アパレルブランドで働いていたからファッションの知識がある

・従兄弟がニース郊外でガーデニング教室を開いている
→撮影環境の確保が出来る。フランスに拠点が持てる。

・Webデザインの一通りの技術は持っている
→ネットショップ運営が出来るから売り方が分かっている

・モデルやプロのカメラマンの知り合いがいる
→あまりお金をかけずに頼めれる

・撮影の補助が出来るので人件費削減に繋がる

・職人の帽子を独占的に売れる
→このお店だけの商品が作れる

・語学堪能な仲間がいる(英語、フランス語、イタリア語)
→サイトを作るにあたって翻訳してもらえる

・一点ものを作れる
→オリジナル商品を作ることが可能

 

ターゲット

こだわりの強い20代女性

ベネフィット

・個性的な帽子が多いから人と被らない
→センスがいいということ(自己表現的価値)

・本場のものだからオシャレ
→日本ではあまり目にしないような帽子が多い

・良いものだから毎日被りたくなる

・帽子が大好きな人の帽子屋だから信頼出来る

・商品の写真が綺麗・モデルさんが実際に被っている写真が載っている
→安心して買える

 

ここまでで分かることは、このお店の特に1番の強みは、品質、職人の帽子を独占的に売れること、安く販売が出来るという3つのことです。

そして、価格が安いことも大事だけど「こだわりの強い人」なら値段が高くても買うかもしれないということ、そして信頼や安心があることや高品質という点で考えていくと、このお店は密着軸+商品軸を売りにしていることが分かります。

 

他のお店ととの差別化

・ベレー帽を売りにしている
→様々な種類やサイズ展開

・ベレー帽の売り方講座
→ネットでやる場合は動画で(本場の人にやってもらうのも良い)

・サイズのラインナップが豊富
→職人さんにオーダーメイドが出来る。要望に答えられる。

 

まとめ

差別化戦略を考えるにあたって、強み、ターゲット、ベネフィット、差別化の方法全てに一貫性ががあることが重要だと分かりました。

差別化は強みを元に考えていかなくてはならないし、ベネフィットはターゲットに対して考えなければ誰に対しての価値なのか分からなくなってしまうので、途中でどれか1つでもブレたらいけません。

今回のことを頭に置いて前に作ったサイトのラフデザインを見たら、何が足りなかったのか、どうしたら売れるのかがもう少し深く考えられると思います。