商標登録証と区分と指定役務
この記事を書いた人
1976年 静岡県生まれ。CEO、ブランドマネージャー、ディレクター、コピーライター、日曜エンジニアと5足のわらじで活動中。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会『ブランドマネージャー1級資格』保有者。
商標登録証
今朝、『スターズデザイン(標準文字)』の商標登録証が手元に届きました。僕らの名前は第35類、第42類のうち指定の役務において今後10年間は保護されます。合わせて弊社ロゴの図形商標も出願中ですが、審査にもう少し時間がかかりそうです。
商標は出願する際に「指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分」を指定する必要があります。要するに商標権の有効範囲を決めるための区分です。区分と役務について詳しく説明します。
区分
僕らであれば、広告物やウェブサイトのデザイン、ブランディング、マーケティングの領域で商標を有効化したいと考えます。それをカバーしてくれる区分が「第35類」や「第42類」にあたります。
- 第35類:
- 広告、事業の管理又は運営及び事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
- 第42類:
- 科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発
たとえば僕らが「スターズデザイン」という店名のレストランを開いた場合、商標は上記の第35類と第42類で保護されるでしょうか?
答えはもちろんNOです。飲食店として商標を保護するためには第43類(飲食物の提供及び宿泊施設の提供)の指定が必要になります。僕らは第43類を申請していないので、その分野では権利を主張できません。
将来的に会社がどのような事業を展開していくかは、正直わかりません。もしかしたらレストランを運営するかもしれませんし、内装業を営むかもしれません(ほぼあり得ない話だけど、可能性は0%ではないはず)。「その時に備えて全区分で申請しておけばいいじゃん」と思う人がいるかもしれませんが、そうできない事情があります。
それはお金の問題。
商標の出願費用や登録費用は、区分数に比例して大きくなります。出願時のみならず更新のたびにかかることもポイントです。豊富な資金力があれば幅広く申請することができますが、僕らにとって現実的ではありません。重要度の高い分類に絞るのがセオリーだといえます。
指定役務
区分よりもさらに小さな単位として「指定商品又は指定役務」を指定する必要があります。
例えば第42類であれば、
- ウェブサイトの作成又は保守
- デザインの考案(広告に関するものを除く。)
- 電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守
- 電子計算機用プログラムの提供
- ウェブサーバーの貸与
などがあり、上記は僕らが今回の商標出願時に指定した役務の一部です。
この他にも、第42類には様々な役務が存在します。僕らはその全てをくまなく指定しているわけではなく、あくまでも自分たちに関連性の高い役務にしぼって出願しています。
例えば、医薬品や農業に関する研究という役務も第42類に含まれますが、僕らがこれを申請しても意味がありません。
- 医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究
- 農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究
たとえ意味がなくても指定することは自由ですが、指定役務を広げすぎることで他者が先行登録している商標との類似が生まれやすくなり、審査が難しいものになります。
これから商標を登録される方々の参考になれば幸いです。
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2019.10.08