コーディング後にデザイン修正を求めてくるクライアントに何を伝えればよいか

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webデザインの仕事の場合、完成したページを一般公開する前にテストサーバー等にアップロードして、その出来栄えをクライアントに最終チェックしてもらうのですが、そこでデザインの変更指示が入ることがあります。

コーディング後のデザイン修正(レイアウト変更、機能変更)は、いわゆる『手戻り』が大きく、僕らとしてはなるべく避けたいところ。クライアントには「デザインの変更指示はコーディング前にすべて指示していただけますか?」とお願いしているのですが、それでもコーディング後に色々言われてしまうのが僕らの商売の難しいところです。

コーディング後に予期せぬ修正指示が来ると「うわ、まじか・・」と思うのですが、まぁ致し方ないか、と割り切ってしまっている自分もいるのです。

この話の大前提にあるのが、クライアントは『web制作のプロ』ではないという事実。

自分たちで制作できるならば、そもそも僕らを頼ることはないでしょう。彼らはweb制作のプロではないので「コーディング後の修正は手戻りが大きい」といった、ウェブ制作のワークフローを前提にしたこちらの言い分に対して、ピンとこないのです。

しかし、手戻りを必要とする修正指示がクライアント都合によるものだろうと、納品・公開が遅れてしまえばクライアントの不利益に繋がってしまいます。僕らは何とかこの不利益を減らしていかなければなりません。

ワークフローを理解してもらうためには?

web制作のワークフローは、言葉で説明してもスムーズに理解してはもらえないでしょう。一般の人々にとって、体験したことのない領域だからです。

それならば、もう少し理解しやすくなるように「例え話」で語ってみることが必要かもしれません。

web制作のワークフローを大雑把に分解すると、①デザインフェーズ(Photoshop上の作業)と、②実装フェーズ(コーディング、動作確認)の2つに分類されます。本当はもっと細かく分けることができますが、今回はわかりやすく2つのフェーズとしておきます。

今日はこれを家づくりに例えてみましょう。

ベストな例えかどうかはさておき、web制作のワークフローよりも、家づくりのワークフローのほうが一般的に知られていると思います。

webサイトのデザインフェーズは、住宅の設計に例えられる

デザインフェーズにおけるデザイナーの役割は、建築士の仕事そのものです。

建築士は、施主の要望をヒアリングしながら「寝室はどこに配置するか?」「収納はどこに取り付けるのか?」「玄関の向きは?」といった決めごとをまとめ、設計図と完成イメージを作成します。

施主は、建築士が作った設計図と完成イメージをチェックし、追加・変更したい箇所があれば、修正を依頼することが可能です。

webデザインでも同じです。完成図がなければ大工たちは仕事をすることができません。私たちはPhotoshopなどのソフトウェアでwebサイトの「見た目」をデザインし、お客様に確認してもらうのです。

webサイトの実装フェーズは、住宅の施工に例えられる

実装フェーズにおけるデザイナーの役割は、大工の仕事そのものです。制作会社によってはコーダー、フロントエンドエンジニアと呼ばれる専門家が対応する場合もありますね。

建築士から受け取った「設計図」をもとに、基礎の上に柱を組み、床や壁を張りながら「住宅の形」を作り出していきます。

基礎を打ってしまえばレイアウトを大きく変更することはできませんし、棟上げした後から柱の位置を変えることはできません。あとから「ガレージが必要だった」とか「水回りはやっぱり東側に移したいわ」と思っても、あとの祭り。

本当にそれ(=変更)を望むのであれば、建てた家を解体し、もう一度最初からやり直すことになります。それがどれだけ大変なことか、想像に易いでしょう。

webデザインでも同じです。コーディングが始まってしまえばレイアウトの変更は容易ではないのです(画像の張替え、文字の修正といった「構造、レイアウトに影響を与えない変更」であれば、ある程度は対応できますが、基本的にはできないものと考えてもらったほうが良いです)。

だからこそ、クライアントは設計フェーズで要求を洗いざらし出すことが重要で、僕たちは設計フェーズの時点で、要求にしっかりと答えたデザイン案を出さなければいけません。

クライアントと僕たちが『設計』に対して真剣に向かい合うようになれば、一貫性をもった素晴らしいサイトが出来上がります。「あとで修正を依頼するかもしれないけど、とりあえず作ってみて」といったルーズな思考では、良い結果を生み出せるわけがありません。

すべては四方の笑顔のために

このように、web制作のワークフローは家づくりによく似ています。

家づくりとは単価が違うため、どうも軽く見られがちですが、これをクライアントにきちんと説明し、理解・承諾してもらうことで、工期も予算もグッと短縮でき、クライアントの利益につながるのです。

設計に真剣に向かい合えば、質の高いサイトになります。エンドユーザーに質の高いサイトを届ければ、クライアントへの信頼に繋がります。デザイナーたちは手戻りのストレスから解放され、僕にとっても利益率、プロジェクトの回転率が上がります。まさに四方良しの関係。

もっともっと、この動きを啓蒙していきたいと思います。

2019.07.03

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