ECサイトはエンターテインメントを失った
この記事を書いた人
1976年 静岡県生まれ。CEO、ブランドマネージャー、ディレクター、コピーライター、日曜エンジニアと5足のわらじで活動中。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会『ブランドマネージャー1級資格』保有者。
ECzineで面白い記事を見つけました。
日本には「おもしろいムダ」が足りない ヤフー井上さんと「効率で勝負しないEC」について考える(ECzine)
この記事のなかで、ヤフーの井上さんが “便利なだけじゃない価値を実現するためのデータや技術の活用” という提言をされていますが、この考え方には大賛成です。
みなさん、EC業界(とくにBtoC領域)って最近つまらくなったと思いませんか?
ECの世界は毎日テクノロジーが進化しています。進化の根っこにあるのは「利便性を追求して、顧客に最大の価値を届けよう」という、ベンダーの思想だと思います。
技術者たちの努力の甲斐あって、買い物はどんどん便利になりました。ストレスを感じる機会はずいぶん減ったように感じます。「私、何でこんなもの買っちゃったんだろう…?」といった、がっかり系のエピソードも日常茶飯事でしたが、いつまにか、そんな体験もなくなったように思います。
いまのECって便利。超便利。
‥でも、宝物を見つけたときのドキドキ感がなくなったと思いませんか?
Shopping is Entertainment だったころ
かつての楽天市場は 『Shopping is Entertainment』 をスローガンに掲げて成長してきました。でも、いまやどうでしょう。ショッピングのインフラとしての価値は増しているけれど、エンターテインメントとしては退化しているような気がします。
懐古主義を掲げるつもりはありませんが、共同購入やオークション、プレゼントといった手法で店舗と会員が必死になってコミュニケーションをはかってきた時代の方が、ショッピングのワクワクがあリました。
また、以前は店舗さん同士の横のつながりも盛んでしたよね。店長同士で「楽天で使える裏技」を教えあっていたものです(笑)。
女性消費者の行動は、合理性では説明できない
男性は消費行動において「合理性」を重視する傾向があります。現在のようにテクノロジーを「利便性の追求」に向けることは、男性消費者に向けた戦略としては理にかなっているでしょう。
では、女性消費者に向けた戦略として考えると、ECの未来はこのままでよいのでしょうか。
女性消費者の消費行動は、合理性では説明できません。ヤフー井上さんも “交通費をかけてアウトレットモールで買い物する消費者心理は、合理性では説明できない” と述べていますが、これぞまさに、女性消費者の行動にあてはまるものだと思います。
僕たちの場合、取引先のほとんどが女性向け消費財を扱っているEC事業者(ECサイト)です。だからこそ、僕たちは合理性だけに縛られず無駄や余白を大切にしながら感情を揺さぶるようなECサイトを創っていきたいと思います。